日本の冬は乾燥して寒い。そしてこれは寢室も同様です。冬の睡眠時に困っていることについて聞いたところ、男性で最も多かったのは「のどの乾燥」(56.0%)で、「肌の乾燥」(38.5%)、「空気の乾燥」(33.0%)が続きます。女性で最も多かったのは男性同様「のどの乾燥」(61.5%)でしたが、次に多かったのは「手足が冷える」「肌の乾燥」(48.0%)でした?!盖铩埂负怠工隙嗡邥rの二大困りごとといえそうです。
多くの人が集まるリビングは、空調の4要素(溫度、濕度、気流、清浄度)をコントロールすることによって快適性を求める意識が高まっています。一方、寢室の空調については、暑さ寒さをしのげる“必要最低限”のものでいいと考える人も多く、おざなりにされがちです。
「睡眠負債」(睡眠不足が蓄積した狀態)という言葉が話題になり、先端技術で睡眠の質を改善する「スリープテック」が注目を集めるなど、睡眠と私たちの生活の質(QOL)との密接な関係性に今注目が集まっています。1日24時間の內、約1/3もの時間を過ごす寢室の空気質についても、少し意識を向ける必要がありそうです。
では、冬の睡眠時の困りごとである乾燥や寒さを防ぐためにはどうすればよいのでしょうか。睡眠の問題について詳しい、杏林大學名譽教授 古賀良彥先生に対処法を教えてもらいました。
冬は日照時間が短く、夜が長くなるため、眠りの質が高くなると思われるかもしれませんが、実は睡眠にとっては厳しい季節です。というのも、良い睡眠には日中に身體や脳をしっかり使っておく必要がありますが、寒い冬は日中の身體活動量が少なくなります。身體活動量が少なくなることで、人とのコミュニケーションが減り、結果的に脳の活動量も低下します。つまり冬は、良い睡眠をとるための條件が整いにくい、睡眠にとってはとても難しい季節なのです。
睡眠環境という點から見ても同様です。一般に寢室環境は室溫20℃前後、濕度40~60%、寢具內溫度30℃前後に保つことが推奨されています。しかし冬の寢室溫度は何もしなければ10℃前後で、濕度も低く、寢具內溫度も整うことはありません。調査結果を見ても、冬の睡眠に”満足していない”人が4割以上もいることの背景には、冬に特有の睡眠環境の問題があるためと考えられます。睡眠は一年365日、毎日必要不可欠なものです。私たちはもっと積極的に、冬の睡眠のあり方やその対策について考えていく必要があるといえます。
冬の睡眠の質を高めようとしてやっていることの中には、実は間違いということも少なくありません。たとえば、夜食として溫かいものを取ったり、お酒で身體を溫めたり、熱いお風呂にゆっくり入ってから寢るようにしている方がいるかもしれませんが、それらは睡眠にとってすべて逆効果です。眠る直前に食事を取ると代謝が上がり眠りにくくなり、お酒は中途覚醒が生じやすくなりトイレも近くなることで眠りの質を低下させます。熱いお風呂は睡眠時に本來下げるべき深部體溫が下がりにくくなり寢入りが悪くなります。
また、寒いからといって厚著したり、靴下を履いたりして寢ることもおすすめできません。質の高い睡眠を得るには、寢具の中で身體の表面が溫まった上で、身體から熱が適度に放散される狀態にする必要があります。厚著や靴下はこの熱の放散の妨げとなるため避けた方がよいでしょう。
まずは冬の寢室の睡眠環境として推奨されている室溫20℃前後、濕度40~60%の環境づくりを目指しましょう。溫度については眠る少し前にエアコンを20℃前後に設定して運転するだけです。理想は寢室の溫度を最適な狀態で一定にすることなので、朝までつけっぱなし運転がおすすめです。つけっぱなしにしたくない場合はオフタイマーを使うとよいでしょう。ただしその場合は、保溫性と通気性を兼ね備えた寢具や寢間著を選ぶなど寢室の溫度低下に備えた工夫をするようにしましょう。
冬の寢室はエアコン暖房を使う/使わないに関わらず乾燥しがちです。寢室環境やライフスタイルに合わせた無理のない加濕方法を検討し、寢室內の濕度を40~60%に保つようにしましょう。
1946年東京都世田谷區に生まれる。1971年慶応義塾大學醫學部卒業。1976年杏林大學醫學部精神神経科學教室に入室。1990年助教授、1999年主任教授、2016年名譽教授となり現在に至る。日本催眠學會名譽理事長、日本ブレインヘルス協會理事長、日本薬物脳波學會副理事長、日本臨床神経生理學會名譽會員などを務める。
冬の寢室環境に対するダイキンからの提案は、就寢前後におけるエアコン暖房の活用です。就寢前や就寢中にエアコン暖房を活用することで手軽に冬の寢室の空気環境を整え、睡眠の質を高めることができます。以下にエアコン暖房を中心とした寢室の空気環境の整え方についてご紹介します。リビング同様、滯在時間の長い寢室の空気環境について、冬の睡眠をきっかけに見直してみてはいかがでしょうか。
冬の寢室の寒さに伴う末梢血管の収縮を防ぐことで、入眠がスムーズになり、質の高い睡眠につながります。カーテンで斷熱したり、事前の暖房時に掛布団を広げておいたりするとさらに効果的です。
気溫は深夜から明け方にかけて最も低くなるため、就寢中もエアコン暖房はつけたままにしておくことをおすすめします。また、最近のエアコンには、睡眠直後は溫度を高めに、その後は2℃程度下げ、起床前にはまた高めにするというように、睡眠時の體溫変化に合わせて自動で適切な溫度に設定してくれる機能を搭載したものもあるので、それらを活用するのもよいでしょう。 エアコン暖房をつけたままにしたくないという方は、エアコンのON/OFFタイマーを組み合わせる形で、就寢30分前から2時間運転した後にOFF、そして起床する1時間前にONになるよう設定するのがおすすめです。
就寢時にON/OFFタイマー設定する場合
冷たい寢具に入った時の末梢血管の収縮を防ぐことで、入眠がスムーズになり、質の高い睡眠につながります。
入眠は深部體溫が下がることで促されます。睡眠の1~2時間前に熱すぎない(38~40℃)お風呂に入って深部體溫を高くしておくと、入眠に向けて深部體溫が下がりやすくなります。
冬の寢室の乾燥は、不快なだけでなく、喉や肌への負擔も大きくなります。またエアコン暖房を使うと濕度が低下するため、加濕器や洗濯物を干すなどして寢室の濕度が40~60%程度になるように加濕を心掛けましょう。この時、濕度設定ができる加濕器を使うと結露が発生しにくく安心です。
冬の睡眠に対する満足度を聞いたところ「満足している」(「満足している」「どちらかというと満足している」)と答えなかった「満足していない人」(「満足していない」「あまり満足していない」「どちらでもない」)の割合は約4割(43.8%)でした。
冬の睡眠時にエアコン暖房を使用しているか聞いたところ、約5割(48.0%)の人が睡眠時にエアコン暖房を使用していました。朝までつけっぱなしという人も12.5%おり、冬の睡眠時にエアコン暖房を使用することは、もはや珍しいことではなさそうです。
空気の可能性を信し?、追い求め、
新しい価値をくわえて
これまて?になかった空気を、世界へ屆けます。