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ニュースリリース
実際のオフィス環境での有用性を検証する実証実験を『point 0 marunouchi』で開始
ダイキン工業株式會社は、効果的な短時間睡眠による生産性向上の実現をめざして、國立大學法人電気通信大學 情報理工學研究科 髙玉研究室と共同で「日中の仮眠における最適溫熱制御」の研究を進めてまいりました。このたび、日中の仮眠に適した溫熱制御を見つけ出すとともに、30分の睡眠時間でも起床後の脳の処理速度と記憶力を改善する効果が得られることを確認しました。
また、両者はこのたびの研究結果をもとに「仮眠體験システム」を構築し、株式會社point0が運営する會員型コワーキングスペース『point 0 marunouchi』において、実際のオフィス環境での有効性を検証する実証実験を開始します。
近年、人々の睡眠時間は減少傾向※1で、20代以上の男女のうち70%以上が平均睡眠時間7時間を下回り、20代から50代の30%以上が生産性の低下につながる「日中の眠気」を週3回以上経験しています※2。こうした眠気の解消方法のひとつとして「仮眠」が有効とされています。昨今の働き方の多様化で比較的仮眠が取りやすくなる中、両者は2020年1月より、生産性向上につながる効果的な仮眠に適した溫熱環境を探る「日中の仮眠における最適溫熱制御」の共同研究を開始しました。
両者は、今回の共同研究と実証実験を通じて、覚醒度が強まる日中の時間帯でも快適で効果的な仮眠を実現する溫熱制御技術の開発をめざします。
日中の眠気による生産性低下の改善には30分以內の短い仮眠が推奨されています※3。本共同研究では、30分間の睡眠狀態を「入眠前?睡眠中?起床」の3段階に分け、脳波測定器で検知した睡眠狀態に応じて実験ブース內の空調を様々に制御することで、「速やかな入眠」、「適度な深さで安定した睡眠」、「眠気の殘りにくい起床」を実現できる溫熱制御を検証しました。
2020年1月から2年間の検証により、濕度40%から60%の一般的なオフィス空間では、室溫を27℃にすると入眠までの時間が短くなる傾向が見られたことや、入眠後に室溫を26℃に低下させると10分後にはノンレム睡眠(睡眠段階2※4)に到達したこと、起床の3分前に室溫を27℃以上にすると睡眠深度が淺くなる傾向が見られたことを確認しました。また、これらの溫熱制御により、起床後には脳の処理速度と記憶力を改善する効果が得られたことも確認できました。
本実証実験では、共同研究で効果を確認した溫熱制御が、実際のオフィス環境においても有効性を持つことを確認します?!簆oint 0 marunouchi』の仮眠ブースに置かれたベッドに睡眠狀態を検知する圧電式のバイタルセンサー※5を設置するとともに、睡眠狀態に応じて既存の空調機の設定溫度を制御する「仮眠體験システム」を構築し、仮眠ブースの一般利用者を対象に仮眠前後のアンケート結果をもとに実空間での有効性を評価します。
被験者 | 20代の男性6名、女性5名 |
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著衣量 | 一般的なオフィスでの服裝(ジャケット著用)と同程度。年間を通じて一定。 |
実験機関 | 2020年1月~2021年12月 |
実験回數 | 被験者11名で合計114ケースを実施 |
実験環境 | 當社のテクノロジー?イノベーションセンター內に設置した実験ブースのベッドに脳波測定器を裝著した被験者を寢かせ、出入口の引戸を閉じた狀態で実験。なお、実験ブース內の濕度は40%から60%とし、溫度調整には當社の小空間マルチカセット形エアコン『ココタス』を採用。 |
30分間の仮眠のうちの「入眠前?睡眠中?起床」の3段階に応じて仮眠ブース內の室溫を調整。 室溫に応じた被験者の睡眠深度および仮眠前後の生産性の変化を計測?評価。
3段階の睡眠狀態における室溫と睡眠深度に関する評価
①入眠前 | 入眠前の室溫を「低め(25℃以下)?中立(26℃)?高め(27℃)」の3通りに設定し、それぞれの溫度環境で入眠に要した時間を評価。 |
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②睡眠中 | 入眠前の室溫から変化させない場合と、入眠前の溫度から1℃下げた場合による睡眠深度の違いを評価。 |
③起床 | 睡眠中の室溫から変化させない場合と、起床時刻の3分前に室溫を27℃以上にした場合の睡眠深度の違いを評価。 |
起床後の生産性の変化に関する評価
④計測テスト | 入眠前と起床後、PCモニター上で點燈する信號に応じて素早くマウスをクリックしたり、簡単な計算式に解答しながら數問前の解答內容を記憶したりするなどの生産性計測テストを実施し、脳の処理速度と記憶力を評価。 |
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⑤アンケート | 入眠前と起床後に、眠気のレベルを7段階で自己評価する主観アンケートを実施。 |
3段階の睡眠狀態における室溫と睡眠深度に関する結果
実験した114ケースから、最も良好な睡眠狀態が得られる溫熱制御のパターンを抽出。その溫熱制御で実験した約50のケースでは、入眠前?睡眠中?起床の各段階で次のことが確認できた。
①入眠前 | 少し暖かめの室溫(27℃)にしておくことで、入眠潛時を短縮させる傾向が見られた。 |
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②睡眠中 | 入眠時から室溫を変化させなかった場合と比べ、室溫26℃では入眠10分後からノンレム睡眠(睡眠段階2)への到達と維持が確認できた。 |
③起床 | 起床3分前の室溫が27℃以上の場合、睡眠深度が淺くなる傾向が見られた。 |
起床後の生産性の変化に関する結果
最も良好な睡眠狀態が得られる溫熱制御で実験した約50のケースにおいて、溫熱制御を実施しない場合と比べて、脳の処理速度と記憶力のパフォーマンス向上に寄與する結果が得られた。
起床してから1時間後 | |
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脳の処理速度 | 溫熱制御なしと比べて改善したケース數が9%向上 |
記憶力 | 溫熱制御なしと比べて改善したケース數が32%向上 |
眠気の変化 | 溫熱制御なしと比べて眠気が減ったケース數が12%向上 |
起床してから3時間後 | |
脳の処理速度 | 溫熱制御なしと比べて改善したケース數が27%向上 |
記憶力 | 溫熱制御なしと比べて改善したケース數が26%向上 |
眠気の変化 | 溫熱制御なしと比べて眠気が減ったケース數が14%向上 |
起床後の生産性の変化に関する結果
脳の処理速度※6 | 記憶力※7 | 眠気※8 | |
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起床して1時間後に改善したケースの割合 | 9% | 32% | 12% |
起床して3時間後に改善したケースの割合 | 27% | 26% | 14% |
仮眠ブースに設置したバイタルセンサーが仮眠ブース使用者の入眠を判定し、仮眠空間の空間制御アルゴリズムにより、睡眠の3段階の狀態に応じた溫度制御を実施。